本当のむかで館日記（９）
この6月から当分のあいだ、野外での仕事につくことになったのだが、その場所はつい最近まで杉林だったところで、仕事に着手したときにもその切り株が一面に広がっていた。
で、その切り株の皮を剥いたりすると、中にむかでだのやすでだのがいる、ということが結構よくあったりするわけである。
むかでは、その頭部の色から「トビズムカデ」ではないかと思われるが、どれもまだ小さな体であった。
その小さい、ということと、自分とむかでとの間に直接の利害関係がない状況での遭遇、ということで見てもそれほど大きなショックを受けることもなく、
むしろ、それまでのんびり休んでいたむかでが突然白日の下に晒されて
「ひぇ〜」と言わんばかりに身をくねらせ脚をばたつかせて必死に日陰を求めて歩き回っている様子を見ると、
「こいつ、結構かわいいじゃん」
などという、邪悪な考えが脳裏をよぎらないでもない状況にもなってくる今日この頃である。
なお、これはあくまでも、上記下線部のような状況での限定した思いである。
もし、自宅の自分の部屋の中に彼（あるいは彼女）が出現した場合には考えることも行動もまったく別になることは改めて言うまでもない。念のため。
（2004年6月20日記）