本当のむかで館日記（１２）

結局、2005年度はほとんどむかでを見ないまま終わってしまうようである。
いや、見ていたような気もするのだが、
それほど気に病む状況ではなかった、ということかも知れない。

で、だいぶ前の話だし、またどうでもいいことなのだが、

今年の正月にTVを見ていたら、
「幻の黄金クワガタを求めて」とかいうサブタイトルで、
マレーシア（だったと思う）のある島の、
昆虫類に限らず当地特有の様々な動植物の生態を紹介する番組があった。

ほかに見たい番組もなかったので、なんとはなしにそれを見ていたのだが、
実は、ひそかに期待していることがあった。

「”幻の黄金クワガタを求めて”か・・・もし、
”幻の巨大ムカデを求めて”
だったらもっと真面目に見るんだけどなあ。」

と、つぶやいたらうちの子が
「そんな番組ほかに誰が見るんだ？」と当然のように突っ込んできたので、

内心
「確実にオレは見るんだからいいだろ！」と逆切れしかかったのだが
それはさすがにみっともないので、

「そうだね・・・もしそんなのが画面に出てきたら次の瞬間に”砂嵐”になって、
次いでテストパターンが出てきて、あとは何事も無かったかのように全く別の番組に
変わっているかも知れないな・・・」
と無理してつまらないかつ自虐的なことを言った。

しかし、その直後、
TVの画面には、
なんと！まるで巨大なナマズのように黒光りして
無数の脚をわさわさと動かす生物の姿がッ！

「おいッ！見ろッ！！」
「あ？お、おおおッッッ？？？！！！」

息をのんでTVに釘付けになる私たち。
直後に、その虫が脚をフル回転させて突進する様子が
ローアングルのアップ画面に切り替わる。
重戦車の如きその迫力ッ！

す、すごい・・・と思ってよく見たら、

画面には、
それがヤスデの一種であることを説明する字幕が出ていた（笑）。

確かに、よく見ると（ナマズのような、だから）
むかでというにはずんぐりしているし、脚の付き方も「ヤスデ」である。

一気にテンションが下がる私。しかし、多足類であることには変わりはない。
「な、ほら、出たじゃないか（むかでじゃなかったけど）？！」

と、勝ち誇ったように同意を求めた私の目の前で、
うちの子はいきなりチャンネルを変えやがったのであった。

（2006年3月13日記）もどる